2007/08/21

メキシコに降り立つ


サンフランシスコを経由して15時間、メキシコシティの空港に降り立ち、バックパックを受け取ってからまずいってみたい科白があった。『うん、これだよ、この感じなんだ。』

自称ハルキストの人*ならこの科白がどの本のどの箇所に出てくるかはすでにご存知のはず。(*ちなみに私は自称ハルキストではありません)今回の旅のスタートを切るにあたり、村上春樹は文才に欠けた私に代わってこれから始まる旅に浮き立つ、高揚した気持ちをすでにうまく言い表してくれていた。(以下、抜粋)

「プエルト・バヤルタの空港に下りたって、リュックを肩にかけたときには、正直にいって『うん、これだよ、この感じなんだ』と思った。そこには確かに自由の感覚があった。それは自分というひとつの立場からの自由であり、ひとつの役割からの自由であり、クロノロジカルに成立している僕自身からの自由である。そういった自由の感覚が、肩にかついだリュックの重みの中にこめられている。見渡すかぎり、ここには僕を知っている人は誰もいない。僕の持っているものはみんなリュックの中に収まっているし、僕が自分の所有物と呼べるのは、ただそれだけだ。」村上春樹『辺境・近境』(新潮文庫)メキシコ大旅行より

さて、現実はというと、悲しいかな、25キロ近くのバックパックは想像以上に重く、背負って歩くどころか肩に紐をかけて立つことすらままならず。自分なりにかなり荷物を絞ったつもりだったのに…まあ現実とはこんなものなのでしょう。トホホ。(バックパックはキャスター付のものなので結局ゴロゴロとスーツケースのように引っ張ってます。)

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