2007/08/16

“自分探し”ならぬ“自分失くし”の旅へ (0 days before the take off)


“大切なことは、出発することだった” -星野道夫 

とうとう明日、出発の日を迎える。退職と同時に決意し、2.5ヶ月前から少しずつ準備を進めてきた旅が、明日4時05分に飛行機が日本を離陸すると同時に始まる。今は昨日餞別でいただいたグルジアワイン(スターリンが愛した甘口赤ワイン「キンズマラウリ」というもの。デザートワインなみの甘さですが深みある味わいです)の最後の3分の1をチビチビと空けながら、ひとり静かに前夜祭を祝ってます。

今回の旅の目的を何にするか。思いついたときからずっと考え続けてきたが、結局「世界各地の友人を訪ねる」「子供の頃から憧れていた土地を自分の足で訪ね、自分の手で触れ、自分の口で味わう」こと以外、特に思い浮かばなかった。20代の若者には「自分探し」というわかったようなわからないようなことを目的とする人が多いようだが、この歳になって「自分探しの旅」などというのもかっこ悪いというかなんだかしっくりこない。人生34年も生きていれば、いいところ悪いところ含めて自分がたいした人間でないことぐらい嫌でもわかっているからね。わざわざ高い金をつぎ込んで旅に出てまで再確認する必要もないでしょう。

もっとも旅の本質は、目的地に到達することだけではなく(もちろんそういう旅もあるけれど)、旅に出ること自体にもあるから特にゴールを設定する必要もないか…なんて考えていたら、昨日お会いした方から“自分をなくす”旅なんてどうか、と面白いヒントをいただいた。意識的に自分を失くすことは自分を見失うこととはまったく異なる。自分が、自分が、と終始自己主張することに徹する人が多い(またそれをよしとする)最近の風潮に辟易している私としては(というわけでブログを書くことについても正直抵抗がないわけではなかった)、それを聞いて思わずポン!とひざを打ってしまったのだけれど、もう出発まで時間もないし、短絡的だけれども今回の旅の目的はそれにしたいと思う。自分のことを誰も知らない土地に行って「無」に帰する---所属も肩書きも収入もなくなった一個人の新たなアイデンティティ(といっていいものか?)としてはちょうどいい。

というわけで、つらつらと思うままに書いていたらもう午前2時。ワイン飲みながら夜更かしなんかしていると自分を失うどころかフライトをミスってショックで気を失ってしまうことにもなりかねないので、そろそろ寝ることにします。では皆さん、次回はメキシコから。Hasta luego!

P.S.この旅にあたっては、皆さんから本当にたくさんの温かい励ましのお言葉、お餞別をいただきました。この場を借りて重ねてお礼申し上げます。頂いたものは、ワイン以外(注)はすべて旅のお供にいたします。(注:ワインの中身はすでに自分の血となり肉となっているため。)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

退職のお手紙ありがとうございました。事務所の住所が変わったためやっと今頃届きました。。。(笑)出発の挨拶もできなかったですが、”自分失くし”の旅、楽しんできてくださいねー!

タコボウズ さんのコメント...

たかさん、コメントありがとうございます。オフィス引っ越されたのですね。順調にビジネスを拡大されていることと思います。ボスにもどうぞよろしく。