2008/09/26

『ランチタイムは0分です』

今日、帰りの電車の中で恐ろしい広告をみた。

『右手にマウス。
左手におにぎり。
ランチタイムは0分です。』

右の写真(ちょっとぼけてるけれど)を見ての通り、これはおにぎりの広告。大手コンビニチェーンL社によるものだ。

おにぎりは、手軽に仕事(とは限らないかもしれないけれど)しながらでも食べられますよ―広告が伝えたいことは、要はそういうことだろう。この広告を一瞥してゾッと感じたのは私だけなのか。 これを見て、皆さんは何を感じられるだろうか・・・。

誤解を招かないようにいっておくと、私はおにぎりが大好きだし、おにぎり自身に非はない。(あたりまえのことだけど。) そういえば、映画『かもめ食堂』では小林聡美がヘルシンキに小さな日本食のお店を開いてせっせとおにぎりを握っていたっけ。おにぎりだって立派な日本食。シンプルで簡単そうに見えて、実は美味しく握るのは力加減が中々難しく、奥が深い。もっと世界にアピールして「Sushi、Tempura、Teriyaki、Edamane」の次ぐらいに挙げてやってもいいじゃないか、そんな気さえする。(実際、私も世界旅行中に何度かおにぎり作ったなあ。あ、もちろん、お好み焼き伝道師としては、庶民の味「お好み焼き」も忘れちゃあいけない。)

ともかく、わたしがゾッとしたのは「ランチタイムが0分」という部分。日本はまだこういうことが良しとされる社会なのか。戦後、家族や友人など愛する人達との語らいや食事の時間など、人間らしい生活を犠牲にして景気拡大や経済効率を追い求め続けてきたつけが今の疲弊した日本社会そのものだということがわかっていれば、「ランチタイムが0分→便利でいい」なんて思考回路にはならないはずだ。食が生命の基本であることはいうまでもない。そして食べるという行為を通して喜びや空間を他者と共有することは、特に私たち人間にとって友情や愛情を育む大切な時間でもある。普段は忙しさにかまけて意識することは少ないかもしれないけれど、日本という社会は食のあり方をあまりにお粗末に扱ってきたのではないかー。(最近でこそ食の安全や「地産地消」が注目し始めているけれど。)

先日就任したばかりの麻生首相が、昨日の国連演説で「景気回復して世界に貢献する」などと豪語していたけれど、人間(国民)の真の幸せとは何かという、本来最も先に問われるべき課題を議論せずに「景気拡大」だけをアホの一つ覚えのように叫び続けるのはもうやめてもらいたい。

もちろん、「ランチタイム0分」なんて馬鹿な宣伝も。

追記:去年の9月26日は、ギリシャのサモス島。天候不順でフェリーが欠便となり予定外で5日滞在したけれど、結果的には庶民的で悪くないところだった。滞在中撮った写真を手違いで全削除してしまって1枚も手元にないことが心残り。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

本当ね!それだけで生きていくようのサラリーマン像を考えるだけで恐ろしい。
先日京都ペンションの計画を聞かせてもらって、素敵ね!そういう生活にはとても憧れ的!私もペンションのお客になる日を期待していますわ。;)