2007/10/01

ちょっと心温まるお話 ~Some heartwarming story to share~

今日は9月28日*。今はエーゲ海の島々(ギリシャには3000以上の島があるそうな)の中でも超高級リゾート地として知られるミコノス島に来ている。個人的には、庶民的なサモス島の方が気に入っていたので、私のような取り立てて金持ちでもない人間がなんの因果でこんな島にいるのかよくわからないのだけど、トルコの旅行代理店が適当にプランを組んでしまったから仕方がない。 たかだか100%野菜ジュース1本(1l)に400円も払うようなボッタクリ島では(円安ユーロ高ということも影響しているけれど)何をしようにもやる気は失せるし、昨日から少々体調を崩していることもあるので、今日は部屋で何もせずのんびりしている。明日は再びフェリーでアテネに向かい、夜9時半発の飛行機でオスロ入りしてそのまま空港泊になるからね。今日のうちに体力を養っておかないと。
(*ブログを更新した10月1日現在、オスロ市内にいます)

というわけで、最近あまり更新できていなかったブログネタを今のうちに書き溜めておこうと、エーゲ海を眺めながらテラスでPCに向かってせっせと打ち込んでいるわけでありますが、今日は先日のエフェス・ツアーで知り合ったボストン在住の米国人夫妻から聞いた心温まる話について書こうと思う。

とその前に、簡単にご夫妻のことを紹介しよう。年齢はすでに70歳近く、なのにお二人とも何とも驚くべきアスリート。奥様の方は90日間かけてアパラチア山脈をトレッキングで縦走したというし、ご夫婦では数年前に4ヶ月かけて西海岸オレゴン州から東海岸はボストンまで自転車で横断したという。距離にして、ざっと4,300マイル(約6,900キロ)!わずか9日間、しかもたかだか500マイル(800キロ)の四国サイクリングなんて、何ともちっぽけなスケールの話ではないか・・・とすっかり感服していたら、ご夫妻は自転車旅行中に70代半ばにしてトライアスロンに参加しているという老女に出会ったという。何とも、上には上がいるもので。

で、お二人から聞いた小話というのも、北米自転車横断旅行中のお話。

ある日、パンクが続いて自前のスペアタイヤがなくなってしまったという。しかも、周りは集落らしきものは何も見当たらない平野のど真ん中。修理しようにも水も何もない。なすすべもなく困り果てていると、そこに通りがかった車から中年男性が出てきてどうしたのかと尋ねてきた。これこれしかじか事情を説明すると、男性が携帯電話で妹に電話をかけ、彼女が自転車屋にいって必要なサイズのタイヤを購入してもってきてくれるという。待つこと1時間半(街からは車でもかなり離れていたらしい)、スペアタイヤが到着し、パンク修理は無事成功した。

なんとお礼を申し上げればよいのやら、自転車のタイヤごときに1時間も運転して駆けつけてくれたお礼を是非させてくれと申し出る夫妻に対し、その女性はこう応えたという。(この台詞を私に話す前、旦那さんが「僕はこの言葉を一生忘れないよ」と前置きしていたのが印象的だった。)

『お礼はいりません。その代わりに、この先、あなた方が同じように困っている境遇の人に出会ったら、その方を同じようにお助けなさってください。』 (“When you meet someone on the road who is in need, please do the same thing to the person.”)

人から親切を受けた時、通常は恩恵を与えてくれた人に対しお返しをする相互やり取りで終わってしまう場合が多い。それはそれで問題はないのだけれど、感謝の気持ちを自分でなく不特定他者に向けて親切を施すことによって具現化してださいと話したこの女性の慈悲深さに、私は何ともいい難い感動を覚えた。恩返しとは必ずしも二者間で完結するものではないということを。これを愛と呼ばずになんといおう。

悪天候でエーゲ海フェリーがキャンセルになり、代理店との旅程調整が二進も三進もいかずささくれ立っていた心をちょっと優しい気持ちにさせてくれた、そんなお話でした。

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